地元材木メーカーの集成材を使ったカウンター

少し前のリノベーションのお話です。


カウンターは相当前から構造は出来ており、カウンター天板(お食事を置く板)をどうするかと言う事で悩んだ時期がありました。

当初はこんな感じで欅の一枚板をカウンターにしたいと思っていました。


で、カウンターの施工はチビチビと進んで、しばらくは床板をサンプル的に置いてありましたね。

杉板はさすがに長くハードに使えるほどの強度は期待できませんので、納屋に眠っていた欅の立派な一枚板を、どうにかしてカウンターに使いたいと思っていて、何週間も、ヘタしたら何カ月も考えていました。どうしたら素敵なカウンターを作れるか。

でも悩み抜いた末、使いたかった板は反りが結構きつくて、最終的にはテーブルとかカウンターの天板には使えないと判断しました。反りの様子が分かりやすいのが、この画像ですね。

この曲がりっぷり、スゴイ。


結論としては、「じゃあ天板は集成材にしよう。」という方針を決めていました。


まあ、集成材を使うと決めたら、目的のサイズの集成材を入手したらいいだろう、手に入れさえすれば1日2日あれば出来あがるだろう。と簡単に考えているだけであまり作業を進めていませんでした。


ここからカウンター用集成材の入手に関するお話になります。


カウンターの天板に集成材を購入して使おうと決めたは良いけど、まずはある程度の厚さが必要でした。カウンターの構造としては足が引っかかるようなカウンターを支える柱みたいな邪魔者を少なく済ませたかった。

こういう要件を満たすためには天板自体の強度がそれなりにある必要がありました。

強度計算とか難しいことをしたわけではありませんが、少し厚めの集成材ということで、少なくとも厚み30mmの集成材を使おうと心に決めました。


で、板の長さとしては2700mmは必要でした。

カウンターの形状としては縦も横もほぼ同じ長さです。「L字」で考えると、縦を長くとっても、横を長くとっても、どっちにしても長いほうの材は約2700mmが必要でした。

短い材を使って細かくツギハギすれば出来ないわけじゃないけど、強度が必要と言う事を考えると出来るだけ長い材を確保したい。

あとは天板の奥行、ダイニングにも使うカウンターですから、50㎝は欲しい。


厚み30mmで長さ2700mm以上、幅は50㎝の材。これが求めるカウンター材です。


それからしばらくの間、いろんなホームセンターに行くたびに集成材を探しました。

でもこれが意外と見つからなかった。

25mm厚で4000mmの集成材もあったし、30mm厚で1800mm幅の集成材も見つかりました。でも、30mmで400mmの集成材が売ってない。


さて困った。どうしたものか・・・


お世話になっている建築家さんからは、「材木屋さんで丸太から一枚板を曳いてもらう事も出来るよ。」というお話も聞いては居ましたが、その費用が心配でふんぎりがつかなかった。

そんな中、以前からちょっと・・・いや、非常に気になっていた地元の集成材メーカーである、「齊藤木材」さんに相談をしてみようかと思い立ちました。

国産の集成材メーカーとしては有名なメーカーさんで、地元、長野県長和町に本拠を構える企業です。

一般的な材木屋さんとは少し毛色が違って、集成材という工業製品のメーカーさんと言う事で、個人で購入なんか出来るのかなと尻込みをしていたのですが、目的の集成材がいつまでも見つからず作業が進まなかった事もあって、ちょっとビビりながらも問い合わせしてみました。

「あのー、長和町に住む建築業者でもない個人なのですが、集成材って売ってもらえるんですか?」


業者さんじゃないと門前払いかも・・・と不安に思っていたのは全くの杞憂で意外にもとても気持ち良く対応をしていただきました。

町内で古民家のセルフリノベーションをしているというお話をしたら興味を持って頂いて、直接事務所にお招きいただき、営業本部長さんとお話する事も出来ました。


購入する集成材は「唐松丸」という齊藤木材さんのブランド集成材です。

長野県産の唐松だけを使った高品質な集成材です。

ホームセンターに売っている物って、多くが輸入集成材らしいのですが、これは国産。しかも地元長野県の唐松だけを使った集成材と言うだけで価値があると思います。

しかも私の希望した集成材は現在在庫が無いという事で、大した量ではないにも関わらず、わざわざ私個人のために製造してくれるとのこと。

更には近いからという事で、配送までしてくれると。とてもありがたい事で恐縮です。


ここで、集成材を使った感想みたいなものを書きたいと思います。

実はホームセンターで買った輸入の安い集成材も、店内の一部に使っているため、集成材の性能違いを目の当たりにできましたので、少し書きます。


輸入集成材の方は、厚みが18mmと薄い事も関係するかもしれませんが、ホームセンターで購入した時点ではきっちりまっ平らな板というイメージだったんです。

でも購入して持って帰ってしばらくすると、湿気とかの影響を受けて歪みが発生しました。

元々集成材と言うのは狂いが少ないという知識を持っていたのですけど、集成材とはこんなに歪むのか。ヘタしたら無垢材と変わらないレベルじゃないか?というくらいの反りに遭遇しました。

これには正直参りました。こんなに歪んでいると使いづらいなぁと。


一方、カウンター天板として齊藤木材さんから購入した集成材については、全くそんな事がなかった。

製造した場所がご近所で風土があっているからか、それとも元々製造時の品質が高いのか。詳しい事は不明ですが、ほとんど歪みが発生しませんでした。

これは本当に驚きでした。

正直に言うと購入の際には「所詮集成材なのに少し高いかな。。」と思っていたのです。

でもこの違いを目の当たりにした事によって、お値段分の価値が十分に感じられる事が出来ました。

本当にお薦めです。可能ならば是非使って頂きたい。


ただ、私の場合は地元企業だったために比較適容易に高品質な集成材を入手できましたが、他の地域の方がDIYのためにこんな品質の集成材を入手できるかはちょっと疑問かもしれません。

それでも、DIYをするために集成材を入手しようとしていて、輸入集成材と国産集成材、両方の選択肢がある場合、相当な値段の差があるかもしれませんが、国産の集成材を入手する事をお勧めします。きっと後悔はしないと思います。

DIYの素材として集成材を買うという事は、それなりに板の面積を求めていて、しかも有る程度の精度を求めるケースが多いと思うのです。

そういう場合に残念品質の集成材を買うなんてとんでもない!

私の少ない経験から思う事は、品質の高い集成材を購入すべきだということです。


ということで、購入した唐松丸を切って貼ってカウンターを作っていきます。


この画像では余分な長さのカットが終わってないですね。

飛び出た部分をカットして

縦のカウンター板と横のカウンター板を繋いでシームレスなL字にしたかったので、木工用ボンドで接着してほぼ融合した状態のカウンターができました。


ちなみに、カットした集成材の木口(切り口)どうですか?

美しいとと思いませんか。

年輪の向きが揃っていると、反りが発生する原因になるはずです。

それを反りを打ち消しあうように年輪の向きを調整しているのだと思われます。


ちなみに残念だったほう集成材の木口はこんな感じ。

よくよく観察してみると、年輪の向きがほとんど同じじゃん。そりゃ反るだろうなぁ・・・


以下が仕上がりの様子。

カウンターの表面は、2液ウレタンニスで仕上げました。4度塗りくらいしたと思います。

かなりツルツルピカピカの仕上がりで、満足です。

テーブルの天板にニスを塗ることはよくあると思うのですが、普通のニスではなく、より耐性の強い2液ウレタンニスをお勧めします。

理由は、単純にそっちの方が強いから。


気温が高い時期に、ニスを塗ったテーブルがべたべたするような経験をした事ってありませんか?

私は以前外食した飲食店で、テーブルを拭いても拭いても、何となくべた付いているような経験をした事がありました。

もしかしたら、普通のニスで仕上げていることが原因かもしれません。

実は普通のニスは耐熱が70度程度しかないのです。それを超えると溶けてしまうらしい。

アツアツの味噌汁やお茶をこぼしたら溶けてしまうという事になりますね。

何らかの理由で一度溶けかけたニスが、完全に固まる前にテーブルを拭いたり油などが混じってしまったらと思うと・・・取り返しがなくなってしまうのだと予想できます。


一方、2液ウレタンニスはというと、耐熱100度。

沸騰させたお湯の入ったヤカンとかを置いても大丈夫ということです。

傷に対抗するための硬さも十分あり、ちょっとやそっとじゃ傷つくこともありません。

こういった高性能なニスの金額は当然安いとは言えません。このカウンターを塗るだけで3000円程度の製品を一つ使い果たしました。

価格の違いを考慮したとしても、長く強く居てくれるニスを選んだほうが良いですね。


あと、カウンターに使った、高品質な集成材の残りは、2枚くっつけてテーブルになりましたので、それもご紹介します。

奥の方、良く見ると妙な形をしています。。

元々2枚の集成材からカウンターを作せったのですが、縦の板、横の板それぞれ長さが異なっていたので、当然余りの材の長さも違ってきます。

長さの違う材を集めてテーブルにしようという魂胆で、2枚の板を接着、テーブル脚をつけてみました。

まあ、2枚の板を同じ長さに切り揃えて、ただの長方形のテーブルにするのは簡単なのですが、せっかく長いものを短く揃えちゃうなんて、もったいないな。と思って。

で、長さが違うまま、そのままくっつけてしまいました。(笑)

まあ、これも手作りっぽくていいじゃないですか!?


あと、最初にカウンターに使おうとして諦めた欅の一枚板は見ての通りベンチ椅子になっています。

欅の厚み5㎝以上の無垢のベンチ椅子って、たぶん贅沢すぎて他ではあまり無いんじゃないかなと思います。


お店にいらっしゃったら、齋藤木材さんの唐松丸でできたカウンターと4人掛けテーブル、欅のベンチ椅子にもご注目頂ければ幸いです。


今回はここまで。

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