2階は穴だらけ

野生のあいつと遭遇

ある日の夜。

辺りは暗くて投光機の灯りで作業を行っていました。

一人でリノベーション作業しているはずなのに、2階でミシミシと歩く音が聞こえてきました。

田舎の古民家ですから、窓の外には他に明かりもなく。大きな建物の中には自分しか居ないし、人によってはちょっとヤバい状況かもしれませんですね。

私は心霊現象を信じる人ではないので怖いとかは無く、以前から恐らく・・・と言う事で覚悟をしていた事もありましたので、直ぐにワークライトを持って2階に上がりました。


そして、茅葺きの屋根を下から見上げる空間があるのですが、そこで・・・


ワークライトが目に反射し、白い鼻筋が浮いて見えます。

はい。ハクビシンです。

写真が無いのが残念ですが、目が合って思わず挨拶。

「こんばんわ。」

相手は一時停止。私はスマホで写真を取ろうと準備をしながら・・・

「この家、こんど俺が使う事になったから、早々に出てってもらえないかな。」

彼は返事する事もなく、かと言って外に逃げるわけでもなく、私の目の届かない屋根の奥の方に姿を消しました。

この間、約10秒くらいだったでしょうか。

まあ、彼には早々に退去して頂くつもりではすが、

彼のような無法者が出入り可能な状態である事が問題ですよね。


さて、無法者が出入りする、この古民家の2階の状況はと言うと・・・

意外と壁の多くの部分が建具で開閉可能な作りになっています。しかし、どの建具も枠がズレて開閉に問題があります。


土壁にはいくつも穴が開いていて、閉じる事が出来ない風通し穴となっています。

そもそも開閉する機能が無い風通し用の窓もあったのには驚きでした。

この写真がそうなんですけど開閉する機構がありません。季節問わず開けっ放しを前提とした作りです。

そう、古民家では断熱と言う考えは皆無なんです。


こういうところを見て、古民家では断熱の考え方はやめる事にしました。

スケルトンリフォーム(つまり柱や梁等の骨組みを残して作り直し)をして、今の建築基準法に合った建物に作り替えるわけじゃないんだから、床、壁、天井に断熱仕様を全て仕込むなんて無理な話です。


しかしながら、こんな穴だらけじゃ無法者である虫や動物の侵入は防げません。

この古民家は飲食店にするわけですからなんとかしないと。

それに、ストーブの燃費にも影響しますし・・・。


補修プラン

細かい土壁の穴は、大量に残っている土壁の材料を利用して補修します。


枠がズレて開閉できない建具は、直したり新しい建具に差し替えます。

一部は羽目殺しにするつもりですが、風通しを考えると全て閉じるのは良くないでしょうから、一部は開閉可能な扉とすべきでしょう。

かと言ってサッシ等を入れるのはコスト的にも合わないので、オリジナル建具を作ろうと思います。

建具と言っても、基本は塗装した野地板(カンナのかかっていない表面がザラザラの板)を並べて角材の枠に張り付けただけのものです。

野地板を並べて張り付けても隙間が開いてしまうもので・・・隙間はシリコンコーキングで埋めようと思っています。

開閉させたい部分は、蝶番で開閉可能にしようと思います。


あと、障子紙が風化して無くなっているけど、かろうじて開閉可能な障子もあります。

これらは、建具をそのまま残しますが、障子紙ではなく、代わりに薄いベニヤ板を張り付けて済まそうと思います。

写真の左2枚が、対象の建具です。

右側の1枚も外してありますが一応残してあります。

ベニヤ板は水に弱いと言われていますが、もともと障子紙で作られた建具は、雨が当たる事は無いと想定されている建具(雨はほぼ当たらない場所に設置されている建具)ですから、まあ大丈夫と思っています。


しかし、2階は色々と酷いもんではあるけれども、古民家としての良さは1階よりも2階にあると思います。むき出しで煤で黒くなった梁。

外からではトタンで覆われていますが、茅葺き屋根を内側から見るととても壮観で美しいものです。

あまりにも暗くて、写真がブレてしまっていますが・・・茅葺き屋根の内側の写真です。

建築してから100年を超えていても、全く問題が無くしっかりしています。


古民家好きな人とかリノベーション好きな人には2階をご案内する場合があるかもしれないけど、この魅力的な2階は基本的には店舗の一部として使う予定はありません。

建築法上の200平米制限を守るためにも、使えないというのが正しいのですが、将来的に何かに使えるといいなとは思っています。


今回はここまで。

古民家カフェダイニング えんの家 長野県小県郡長和町 和田宿 旧中山道の古民家でランチ・カフェを!

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