古民家を手に入れる

古民家を手に入れるまで

古民家をリノベーションして飲食店をやるためには

まずは大前提として古民家を手に入れなくてはなりません。

空き家が社会問題になるこのご時世。田舎に行けば古民家の空き家は選び放題だろう。

と考えていましたが、まあ、そこまで順調ではなく。

今回は古民家の探し方と手に入れ方について、自分がどうしたか書いてみようと思います。


前提として田舎で空き家の古民家を手に入れるのは、普通の不動産賃貸や売買と違います。

一般的に家、マンション、アパートは不動産屋で探すことがほとんどだと思いますが

田舎の空き家は不動産屋に委託される事もなく、ただ何十年も放置されていたりします。

おいくらで賃貸、とかおいくらで販売、という値札もついていません。

不動産取引が盛んで、沿線で相場があって、築年数と間取りで価格が決まるみたいな

世界ではないんですよね。

土地も安く、建物の固定資産価値はほぼ無いので、交渉次第で価格が変わったりもします。


古民家を探す

古民家をリノベーションして飲食店をやってやる!って辞めた時、

物件はまだ決まっていませんでした。

「近所に空き家の古民家いっぱいあるし、まあ大丈夫だろ。」

くらいの気持ちで居たんですよね。

しかし、実際は店舗用の空き家の古民家を見つけるのは苦労しました。

家主に断られる事もありましたし、物件の状態も金額の面でも非常に条件の良い物件でも、

飲食店向きの店舗と言う点で条件を満たせなかったため最終的には断念した物件も。


具体的な探し方としては下記のルートで情報収集を行いました。

1.空き家バンクおよび地元不動産屋さんから

2.家族や親族、事情通から空き家情報を聞く

3.足を使ってこれぞという物件を探す

それぞれについて少し書いておきますね。


1.空き家バンク。

これが鉄板です。まずはこれを見ないと話にならない。

空き家バンクにはたくさんの物件が並んでおり、欲しい情報の多くが記載されています。

全国の空き家バンクの情報をまとめたサイトもあるくらい注目されています。

興味がある市町村の空き家は是非内覧しに行ってください。

空き家バンクの物件を内覧させてもらうと、担当の不動産屋さんとか町の担当者から

古民家情報を得ることもあります。

まだ空き家バンク登録には至っていないけど・・・みたいな物件も出てくる可能性も。

空き家バンクで出会った物件では、元々200万程度で売りに出ていたのですが、

物件に興味を示したら、家主さんから「空き家バンクの価格の半分でいいから買ってくれ」

という話が出てきたりしたこともありました。

残念ながら、この物件は店舗とする場合の条件があまり良くなかったので断念。


2.家族や親族、事情通から空き家情報を聞く

これは、その土地に在住しているか、家族、親族、知り合いが居ること前提になります。

案外参考になりました。

「空き家になってる古民家ってあるかなぁ。」みたいに相談して、かなり参考にしました。

私はこの土地が地元でもなくて、住むようになって日が浅いし、

サラリーマンとして週末以外は早朝から夜まで帰らない生活でしたし

週末は街に出かけてしまうから、近所の事情などほとんど知らなかったんです。

家族に空き家とその持ち主を教えてもらい、家主にコンタクトを取ったこともあったし

家族や親族と似た形式ですが、地元の情報ツウから情報を聞くこともありました。

地元のNPO法人の代表の方を紹介して頂いて、その方からも物件をいくつか紹介いただきました。

まあ、その土地にゆかりのある人とのコネを使う、ということです。

このルートで出会った物件も結構な数有ったのですが、店舗にも行ける!と思った物件は

家主さんとお話することも出来たのですが、

「今は全く使っていないけど、もしかしたら子供が将来使うかも知れないから・・・。

と言う事でお断りされてしまいました。

他の物件では、「家財がたくさん置いてあって片づけられない。だから・・・」

という理由でお断りされることもありました。


3.足を使ってこれぞという物件を探す

最終的に、私はこれで物件を決めました。

この町で店をやるという前提だったから、出来た方法だったかもしれません。

店舗に向いた空き家の古民家で、条件にマルがつく物件を直接見てピックアップ。

家主の連絡先を入手して直接交渉をするというものです。


足を使うと言いながら、最初に目をつけたのは、私の家のお向かいの江戸時代に建てられた

築150年の立派な古民家でした。

このお宅は、おじいさんが数年前に亡くなられて空き家になっている認識でした。

お向かいのお宅ですから連絡先はすぐに手に入りました。

しかし、交渉を始めてみて分かったことは、

家主さんは少し離れた場所に住んでいますが、家の周辺の農地は精力的に管理されていて

農作業の合間に休憩していたり、空き家とは言えないくらい家を使われていたとのことで

断られてしまいました。


そして見つけた、地元の学校のすぐ隣にある古民家。聞くと30年ほど空き家とのこと。

古民家の風合い良し。旧中山道の街道沿いで、間口も広く駐車場も確保できそうな敷地。

古民家飲食店としてはOK。

土壁が崩れたり、外に面した障子は穴があいて、諸々劣化は激しそうだけど、

屋根は茅葺きのトタンかぶせで穴とかは無さそうだし、傾いているような様子もない。

まあ何とかなるだろう!


これが、私の手に入れた物件でした。


家族を経由して、地元の情報に詳しい方に問い合わせて、その先も何やら調査してもらい

やっと家主さんと連絡を取ることができました。これに結構手間がかかった・・・。

家を決め、その家主を見つけてアプローチするという手法は一番ハードルが高い手法です。

自分でやっておいてなんですが、正直お勧め出来ません。

どうしてもという場合はその空き家のある町内会長に聞くとか、空き家のお向かいとか

お隣のお宅に聞くとか、そういう方法で家主とコンタクトを取ることになるかと思います。

高齢者の方とかは気軽に連絡先を教えてくれちゃったりするんですけど。

近所から直接連絡先を聞くのはコンプライアンス上どうかと思いますし、

そんなんで連絡されると、家主さんの印象に悪影響を与える可能性もありますから

ちょっと面倒でも「お宅に興味を持っている人が居るけど、連絡先教えて良いか」

みたいなワンクッションは是非やっておくべきです。


古民家を手に入れる

古民家を手に入れるパターンとしては

・元々自分とか家族が持ってる

・買う(譲り受ける)

・借りる

そのいずれかでしょうか。


1.元々自分や家族が持っている

幸運ですね。特に言う事は有りません。


2.買う(譲り受ける)

将来にわたって自分のものになる、という点は良いのですが

費用を一括で支払うだけの資金の準備が必要になります。

あとは不動産の登記変更などでコストがかさみます。

0円の物件でも30万程度の行政書士等の費用がかかるそうです。


3.借りる

期間限定で土地ごと古民家を借りる方法です。

意外かもしれませんが、お勧めです。

借りる事が手に入れると言えるか微妙ですが、空き家の古民家を借りる上では、

一般的な賃貸と違って原状復帰義務の項目を削除することになると思いますし

利用方法の制限を受ける事はほぼありません。(そのように契約すべきです。)

ちなみに私がリノベーションする物件は賃貸で、契約書も自分で作ったのですが、

利用方法について制限を設けないように契約書に記載しました。

セルフリノベーションするために古民家が欲しい方は契約もDIYしては如何ですか?

賃貸契約についての細かいことも、そのうち書こうと思います。


ちょっと脱線しましたので話を戻します。

家主としては、先祖代々の土地建物のため、売ってくれと言われたら嫌だけど、

貸してくれというなら貸しても良い。とハードルが下がる場合があるので、

物件の選択肢が増えます。

また、田舎の古民家を欲しいと思っているあなたは良いけれど、あなたの子孫は

その土地建物を欲しがるとは限りません。なんたって田舎の古民家ですからね。

都会の土地建物は、貸したり売ったりすることで資産価値が十分ありますが

田舎の土地は資産価値が非常に低く、貸したり売ったりして換金することは困難です。

私みたいなお金を出して借りてくれるという人が現れるのは本当に稀です。

固定資産税は(安いけど)確実に取られますので、活用出来なければ負債でしかない。

借りるという話をしても、「買ってくれ」と言う話になるケースもあるくらいです。


田舎の土地建物を探している方、自分の不動産を持ちたいという気持ちもわかりますが

借りる、という選択肢も考えてみても良いと思いますよ。


今回はここまで。


古民家カフェダイニング えんの家 長野県小県郡長和町 和田宿 旧中山道の古民家でランチ・カフェを!

長野県小県郡長和町和田宿旧中山道の街道沿いの古民家をセルフリノベーションした飲食店です。ランチにカフェにお気軽にご利用ください。 ビーナスライン、美ヶ原の観光前後にもお立ち寄りください。 自家製ローストビーフ・ローストポーク・ベーコンはじめ、ジビエ(鹿肉)の提供もしております。 営業時間10:30~17:30 夜の営業は17:30~予約営業のみ。 ご予約はお電話で 0268-71-6487

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